行政書士 たいほう事務所     安全保障貿易管理

「安全保障」と聞くと何やら戦争やテロのイメージが先行し、「日本には関係無い」あるいは「自分には関係ない」と考えがちですが、実は間違いです。

例えば日本では工事現場などでよく見かける大型の建設機械やクレーン車は、使い方によってはミサイルの移動式発射台になります。

またシャンプーの製造過程で使われる薬品は大量破壊兵器にも利用されている薬品が使われています。
日本ではシャンプーとして使っていても ある国はそれを精製してテロに利用する危険性があります。

国内の物に例えるなら「包丁」は料理に使うもので一般に流通していますし誰でも購入できます。
本来の使い方をする目的で購入するには何の問題もありません。しかしその「包丁」を凶器にした犯罪も発生しています。
それは同じものでも手にした人の使い方次第であるということを示しています。
「料理用の物だから犯罪に使われない」ではないのです。

単なる工作機械でも戦争に利用する目的で手に入れようとする国もあります。
輸出してしまってからでは防ぎようが無いため、輸出前に食い止めるのが「安全保障貿易管理」です。

「輸出」と説明しましたが、この中には海外旅行の手荷物も含まれます。また外国人に対する高度な技術を日本の国内で教えること(その外国人が自国に帰ってから核兵器を製造するかもしれません)、メールで海外に高度なプラントの設計図を送ることも含まれます。

以上のようなことを水際で防止するため、輸出をする場合は原則「経済産業省」で「輸出許可」を取らなくてはいけません。
たとえオークションに出品していて、外国に居住している落札者に商品を送ることも例外ではありません。

物を外国に送る人が会社であろうと個人であろうと扱いに差はありません。

もし「安全保障貿易管理」(適用される法律は「外国為替及び貿易法」等)に違反すると刑事罰と行政制裁が加えられることになります。

刑事罰は殺人や窃盗罪と同じように裁判を受け、10年以下の懲役・1000万円以下の罰金(ただし当該違反行為の目的物の価格の5倍が1000万円を超える場合はその5倍以下)行政罰は3年以内の貨物の輸出や技術の提供禁止。及び名前の公表などがあります。
名前の公表は組織イメージの低下や悪化などを招き、株主から訴訟を起こされたり、社会信用の悪化から取引を制限され、やがて倒産となる場合もあります。

自己のリスク管理を怠ることなく、該当する場合は必ず「輸出許可」の申請を行いましょう。
 
 安全保障貿易管理の目的
我が国を含む国政的な平和及び安全の維持を目的とし、武器や軍事転用可能な貨物や技術が、我が国の安全等を脅かすおそれのある国家やテロリスト等、懸念活動を行う可能性のある者に渡ることを防ぐための輸出(貨物の輸出及び技術の提供等)の管理を行う。 
 
 輸出許可の申請
輸出する前に規制に該当するものかどうかを調べる必要があります。
(航空便や船便で物を送る場合だけではなく、海外に出るときの携行品も含まれます)

まず最初に戦争やテロに利用されそうな品目に当たるかどうかの確認が必要です。経済産業省のホームページで規制される品目が公開されていますので、そこで確認します。(これを「リスト規制」と言います)
工作機械などはその機械によって製作可能な成果物の精度によって該当になるかならないかのチェックが必要です。さらにその機械の内部に使われている歯車等の部品一つ一つが該当するかどうかの確認も必要になります。

もしそのリストの全てに該当しない場合でも輸出管理を厳格に実施している国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ等27カ国)以外の国に輸出等を行う場合には原則許可が必要です。

特に注意する国はアフガニスタンやシリア・北朝鮮などですが、それ以外でも前述の27カ国(これをホワイト国と呼びます)以外の国は全て対象です。
(これを「キャッチオール規制」と言います)

以上に該当する場合は経済産業省に書類を提出し、輸出の許可を受けないと出荷できません。
もし許可を得ないで出荷してしまうと前述のような逮捕されて裁判が待っていることになります。

 
 主な違反事例
民生品(一般の消費者用に作られた品物 乗用車や包丁などを指す)の輸出なら許可は不要なのでは?
     民生品であってもリスト規制の対象物は許可が必要です。
        例:潤滑油や電子計算機・・・ミサイルやロケットの開発、製品に転用可能

無償サンプルの提供なら輸出にならない?
     無料サンプルであってもリスト規制の対象物は許可が必要です。

○日本国内の工場で使用した中古の設備なら許可は不要?
     中古品であってもリスト規制の対象物は許可が必要です。

○自社の海外子会社との取引だから輸出ではないので許可は不要?
     海外の子会社に送る場合も輸出に当たり、リスト規制の対象物は許可が必要です。

以前に同じものを輸出した時は非該当だったから、今回も許可は不要
     規制の品目は毎年新しく追加されます。(年度の途中でも必要ならば追加されます)従って出荷する時期に
     よって該当する場合があり、許可が必要になることがあります。

○輸入した機器の故障修理のための返送ならば許可はいらない?
     修理や不良品の返品であっても輸出許可が必要です。

○日本国内で行う研修であれば海外との技術取引に当たらない?
     国内で行われる海外からの研修生に対する研修でもその内容が軍事転用可能な技術に当たる場合は
     許可が必要です。
     特に注意しなければいけないのは、大学の研究室で行われる留学生に対する指導でも、許可の申請が
     必要になることがあります。
     その留学生が自国に帰るとその技術を使って大量破壊兵器を開発製造する場合も考えられるためです。
     「国内だから輸出には当たらない」ことはありません。
 
 
たいほう事務所では輸出許可の申請を最後までサポートいたします。
東京合同事務所グループ(14名の専門家がサポートいたします)
行政書士 たいほう事務所
こちらからメールで問い合わせをする
〒164−0013 東京都中野区弥生町三丁目24番11号  新宿中野合同事務所1階
Copyright TAIHO Office., Japan, 2008 All rights reserved.
当ホームページに掲載の情報・画像・イラスト等の無断転載を禁じます。